基本&ステージ別歯周病治療
- 1回目(初診):診査(レントゲン、口腔内写真)・治療の流れの説明・応急処置
- 2回目:唾液検査・治療方針説明・歯磨きチェック・スケーリング
- 3回目:精密検査・スケーリング・ルートプレーニング
基本的な歯周病治療【SPR】
SPRとは、スケーリング・ループトレーニングの略で、麻酔をしながら歯周ポケット内の歯石を専用の器機で取り除く、歯周病の基本的な治療方法です。歯周病が進行すると歯周ポケットに歯石が溜まります。通常のスケーリングでは取り切れない、歯ぐきの中に埋まった歯石をSPRで取り除いていきます。
SRPは歯ぐきの中の歯石をとるときに痛みを伴うこともあるので、麻酔をすることが多いです。このように丁寧に歯石をとるため、一度に行えるのは4~6本程度で、SRPを全部の歯に行うためには4-6回程度の来院回数をお勧めしています。
歯周ポケット内の歯石は、ブラッシングで取り除くことは難しいので、歯科医院で特別な器具を使って除去する必要があります。
SPR治療の手順
- SPR1回目
- 精密検査
- 精密検査の結果、再治療が必要な場合は再SPRもしくは外科的な治療を行います。経過良好な場合はメインテナンスを行います。
当院の歯肉炎治療の特徴
歯肉炎とは、歯周病になる手前であり、「歯ぐきが赤みを帯びて腫れたような状態になる」「ブラッシングをした時に出血することがある」といった症状が現れます。歯周ポケットにプラークが溜まり、プラークに潜む歯周病菌によって歯ぐきに炎症が起こります。歯ぐきにのみ炎症が起きている状態で、歯を支える顎の骨には影響は及んでいません。
歯肉炎の段階では痛みがないため、なかなか症状に気付くことができません。歯ぐきの腫れや出血があっても「たいしたことはないだろう」と放置してしまう人も多いようです。しかし、放置しておくと次のステージである歯周炎へと進行してしまうため、歯肉炎の段階でしっかりとケアしておきましょう。
まずは歯科医院でのメンテナンスを受け、毎日適切なブラッシングを行うことが重要です。歯肉炎の段階では歯周ポケットも浅いため、しっかりとプラークを除去することで改善・完治します。
当院の軽度歯周病治療の特徴
歯肉炎が進行して、さらに細菌感染が進んだ状態です。軽度歯周炎では歯ぐきの炎症に加え、歯を支える顎の骨が溶かされ始めます。症状としては「歯ぐきが赤くなって腫れる」「ブラッシングや食事の際に歯ぐきの縁(境目)から出血する」「冷たい水がしみることがある」「指で歯を押すと前後に動く」などです。
この段階になると、歯周ポケットも2~4mmと徐々に深くなってきます。そこにプラークや歯石が溜まりやすくなり、放置しておくと中度・重度の歯周炎へと進行していきます。歯周病によって失われた歯や歯ぐき、顎の骨は二度と戻ることがありません。当てはまる症状がある方は、早急に適切な治療を受けましょう。
軽度歯周炎の治療は、ブラッシングとスケーリング、デブライトメントが中心となります。専用の器具で歯周ポケットに溜まったプラークや歯石をしっかりと取り除き、ご自宅でのブラッシングを徹底することで改善・治癒させていきます。
当院の中度歯周病治療の特徴
軽度歯周炎が進行し、さらに顎の骨が溶かされた状態です。症状としては「歯ぐきの腫れがひどくなりブヨブヨと腫れぼったくなる」「歯ぐきからの出血が増える」「歯周ポケットから膿が出る」「口臭が強くなる」「歯ぐきが痩せて、歯が長くなったように見える」「歯が前後左右にグラつくようになる」「歯が浮いたような感じがする」「固いものを噛んだ時に違和感や痛みを覚えることがある」などです。
歯周ポケットは4~6mmとさらに深くなり、歯ぐきの隙間にプラークや歯石がぎっしりと溜まっています。この状態まで進行すると、歯周ポケットの奥まで歯ブラシの毛先が届かないだけでなく、痛みも感じるのでご自身で歯みがきがしにくくなり、さらに症状が進行していきます。放置すると症状が悪化していく一方ですので、すぐに治療を受けてください。
中度歯周炎においても、プラークや歯石を除去することが治療の基本になります。そのため、スケーリングやデブライトメントを中心に行います。ただ、この段階では歯周ポケットが深くなっているため、痛みを感じやすい方、歯周ポケットが深い方は麻酔の注射をして行います。歯周ポケットからプラークや歯石を完全に除去するのが難しいケースがあり、その場合は歯周外科治療(フラップ手術)が必要になることもあります。
当院の重度歯周病治療の特徴
重度歯周炎では、歯を支えている顎の骨が大きく溶かされ、歯のグラつきがひどくなります。「歯ぐきが真っ赤に腫れあがり、膿が出る」「歯ぐきからの出血がひどくなる」「食事にも支障が出る」「歯の隙間が目立つようになる」「歯が長くなったように見える」「口臭が強くなる」などの症状が現れます。歯周ポケットは6mm以上と非常に深くなり、歯根には多量のプラークや歯石が付きます。この状態を放置しておくと、やがて歯が抜け落ちてしまいます。
重度歯周炎においても、治療の基本はプラークコントロールになるため、スケーリング、デブライトメントやフラップ手術で徹底的にプラークを取り除き、細菌を減らしていきます。同時に、顎の骨が大きく失われているため、それを回復させるための治療も必要となります。エムドゲインやGTR、骨移植などがあり、症例に合わせて最適な方法を選びます。また、歯周病によって顎の骨が溶かされてしまったことで生じる歯ぐきの見た目を回復するために、歯ぐきの再生治療を行う場合もあります。