「歯ぐきが腫れている」「歯磨きすると血が出る」などの症状に心当たりはありませんか?こうした症状は、もしかすると「歯周病」のサインかもしれません。歯周病は、成人の多くが抱える口腔トラブルの一つで、進行すると歯を支える骨が溶け、最終的には歯が抜け落ちてしまうこともある病気です。原因となるのは、口の中に潜む「歯周病菌」。この歯周病菌がどこから感染し、なぜ増えるのかを理解することで、早期発見・予防につながるでしょう。今回は、歯周病の原因とされるプラークや感染経路、そして進行に伴う症状の変化について解説します。
1. 歯周病の直接的な原因は何か?
歯周病になってしまう原因の背景には、複数の要因が関わっています。ここでは、歯周病の主な原因を3つの視点から説明します。
①プラークが引き起こす炎症のはじまり
歯周病の原因は、歯の表面に付着する「プラーク」です。プラークは細菌のかたまりで、食べかすとは異なります。この中に含まれる歯周病菌が毒素を出し、歯ぐきに炎症を起こします。特に歯と歯ぐきの間にある「歯周ポケット」にプラークがたまると、酸素の少ない環境を好む歯周病菌が繁殖しやすくなります。
②プラークの放置による歯石化
プラークをきちんと除去しないまま放置すると、唾液中のミネラル成分と結びついて「歯石」と呼ばれる硬い物質に変わります。歯石は表面がざらついているため、さらに細菌がつきやすくなり、炎症の悪化を招きます。また、歯石は歯ブラシでは取り除けないため、歯医者での専門的なケアが必要になるでしょう。
③歯を支える組織に悪影響を及ぼす
増殖した歯周病菌が出す毒素により、歯ぐきの炎症が続くと、歯を支える骨や靭帯などの周囲組織にも影響が及ぶことがあります。炎症が慢性化することで、組織が徐々にダメージを受け、歯がぐらついてしまうこともあります。
このように、歯周病はただの「歯ぐきのトラブル」ではなく、放置することで歯を支える大切な組織にまで影響を及ぼすことがあります。初期のうちは自覚症状が少ないため、毎日のセルフケアに加えて、定期的な歯科検診を受けることが、歯周病の予防と早期発見につながります。
2. 歯周病菌はどこから感染する?侵入経路と家庭内でのリスク
歯周病菌は、誰の口の中にも存在する常在菌の一部ですが、特定の感染経路を通じて移ることが確認されています。特に家庭内での感染リスクには注意が必要です。
①歯周病菌の感染源
生まれたばかりの赤ちゃんの口の中には、基本的に歯周病菌は存在しません。では、どこから菌がやってくるのかというと、主に周囲の大人からの唾液が関与していると考えられています。
➁感染経路は「唾液」
歯周病菌は、食器の共有や口移しなどを通して、唾液から移ると考えられています。特に乳幼児期に親が使った箸やスプーンを共有することで、菌が定着しやすくなる可能性があります。
➂家族内感染のリスク
同居する家族に歯周病がある場合、家庭内での感染が広がる可能性があります。とくに親が重度の歯周病を抱えている場合、子どもにも歯周病菌がうつるケースが少なくありません。
④口内環境による定着の違い
感染したからといってすぐに発症するわけではありません。口内環境が整っていれば、菌は定着しにくく、発症も抑えられます。しかし、歯磨き不足や免疫力の低下などが重なると、菌が繁殖しやすくなる可能性があります。
⑤食器やスプーンを共有しない
家族で同じ箸やスプーンを使わないこと、歯周病の治療を家族全員で受けることが感染予防に繋がります。また、定期的な歯科健診も早期発見の鍵となります。
身近な人とのスキンシップが原因となることもあるため、家庭内でも口腔ケアの意識を高めることが大切です。
3. 歯周病が進行するメカニズムと主な症状
歯周病は、初期にはほとんど自覚症状がありません。そのため気づいた時にはすでに進行していることが多く、進行度によって歯ぐきの状態や症状も大きく異なります。
①初期段階(歯肉炎)
歯周病の始まりは「歯肉炎」です。これは歯ぐきだけに炎症がある状態で、歯を支える骨にはまだ影響が出ていません。症状としては、歯磨き時の出血や歯ぐきの赤み、腫れなどが挙げられます。痛みはほとんどないため、気が付かない方も多いでしょう。
➁中等度の歯周炎
歯肉炎を放置すると、歯周ポケットが深くなり、細菌が歯の根に近い部分まで入り込みます。歯を支える骨や歯根膜に炎症が広がり、骨が徐々に溶けていきます。歯が浮いた感じや、軽いグラつきを感じ始めることがあります。口臭もこの時期から強くなってきます。
➂重度の歯周炎
炎症がさらに進むと、骨の吸収が著しく進行し、歯の動揺が顕著になります。歯ぐきは大きく下がり、歯の根が露出するようになり、見た目にも影響が出てきます。噛むと痛い、硬いものが食べられないといった日常生活への支障も現れることがあります。
④最終段階では歯が抜ける可能性もある
歯を支える骨がほとんど失われると、歯は支えを失い自然に抜け落ちてしまいます。この段階では、治療よりも義歯やインプラントなどの補綴治療が必要になる場合があります。
歯周病は「沈黙の病」とも呼ばれるほど気づきにくいため、定期的な検診とクリーニングで、進行を防ぐことが極めて重要です。
4. 仙台市青葉区上杉の歯医者 ルミエールデンタルクリニックの歯周病治療
仙台市青葉区上杉の歯医者 ルミエールデンタルクリニックには日本歯周病学会・歯周病専門医が在籍しており、軽度〜重度の歯周病治療を行っています。
日本歯周病学会・歯周病専門医の資格は更新が必要であり、更新のためには学会での発表や研修会の参加など、新しい知識や技術の習得が必要です。そのため当院では歯科医療の進歩に合わせた歯周病治療をご提供しています。
また、院内で症例発表や研修会を毎月行っており、歯科医師、歯科衛生士、スタッフ一同がより良い治療を提供できるよう努めています。
歯周病治療は歯周病の進行度(重症度)によってすべき治療内容や治療期間が変わってきます。また、歯周病は一度罹患すると「完治」はしない病気です。そのため快適な生活が送れるレベルに症状を抑えるためには歯科医院で行う治療(CURE)とメンテナンス(CARE)、患者さんご自身がご自宅で行うメインテナンス(CARE)の両軸が大切です。
患者さんとのコミュニケーションを大切にし、患者さんのライフスタイルやライフステージに応じた治療やメンテナンスをご提案いたします。
歯周病治療は長距離走です。仙台青葉区上杉の歯医者 ルミエールデンタルクリニックは患者さんが健康的なお口を取り戻すまで伴走し続ける歯科医院を目指しています。
▼医院ホームページ 歯周病治療紹介ページ
まとめ
歯周病は、単なる歯ぐきのトラブルではなく、放置すると歯を失う原因にもなり得る深刻な病気です。その原因はプラークに潜む歯周病菌であり、感染経路は主に家庭内の唾液からとされています。また、進行しても自覚症状が少ないため、気づいた時には重症化していることもあります。
正しいブラッシングと生活習慣の改善、さらに家族単位での予防意識が歯周病の発症を予防する鍵になるでしょう。
仙台市青葉区上杉周辺で歯周病についてお悩みの方は、ルミエールデンタルクリニックまでお問い合わせください。
監修
甲田 恭子
院長/歯科医師・歯学博士
日本歯周病学会専門医・指導医
日本臨床歯周病学会認定医
日本歯科保存学会専門医・指導医
臨床歯科麻酔管理指導医
日本口腔衛生学会専門医
日本歯科医師会生涯研修認定医
日本歯科医師会認定産業歯科医
第一種歯科感染管理者
キャリアコンサルタント
福岡県立九州歯科大学 卒業
東北大学大学院歯学研究科 博士(歯学)
安久 修平
副院長/歯科医師・歯学博士
日本歯周病学会認定医
臨床歯科麻酔管理指導医
東北大学歯学部 卒業
東北大学大学院歯学研究科 博士(歯学)