歯周病は、歯を支える歯ぐきや骨が少しずつ壊されていく病気で、日本人が歯を失う大きな原因の一つとされています。その原因となるのが「歯周病菌」です。
しかし、この菌がどこからやってくるのか、どうやって口腔内で増えるのかを知っている人はあまり少ないのでないでしょうか。
歯周病菌は誰の口腔内にも存在する可能性があり、生活習慣や感染の仕方によってリスクは変わることもあります。
今回は、歯周病菌の潜む場所や感染経路、さらに予防のために知っておきたいポイントについて解説します。
1. 歯周病の始まりはどこから?原因菌の潜む場所
歯周病の原因菌は、特定の環境を好んで生息する傾向があります。以下に、代表的な潜伏場所を解説します。
①歯垢(プラーク)
歯の表面に付く、白くてねばねばした細菌のかたまりが歯垢です。歯周病菌は酸素の少ない場所を好むため、この歯垢の中で増えやすくなります。
➁歯と歯ぐきの境目
歯と歯ぐきの間にある溝(歯周ポケット)は、食べかすや歯垢が残りやすく、歯周病菌が集まりやすい場所とされています。歯周ポケットが深くなるほど、菌が繁殖しやすくなります。
③舌の表面
舌の上にできる白い苔のようなもの(舌苔)にも、多くの細菌が付くことがあります。歯周病菌も含まれており、口臭の原因になることもあります。
④入れ歯やマウスピースの表面
適切に清掃されていない入れ歯やマウスピースも、菌の温床になることがあります。これらの表面に細菌が付着し、そこから口腔内全体に広がることもあります。
⑤唾液や粘膜
口腔内に常にいる細菌の中にも、歯周病菌が含まれることがあります。完全にゼロにするのは難しいため、菌の増えすぎを抑えることが大切です。
歯周病の原因菌は特定の場所だけでなく、口腔内全体に広がることがあります。そのため、毎日のケアで口腔内を清潔に保つことが、予防の第一歩です。
2. どうして歯周病の原因菌は口腔内で増えるの?
歯周病の原因菌は、口腔内にいるだけですぐに問題になるわけではありません。感染や増殖に適した条件がそろうと、菌が増え、歯や歯ぐきに影響を与えることがあります。ここでは、歯周病菌が口腔内で増える理由について解説します。
①家族間での感染
歯周病菌は人から人へ移ることがあり、食器の共有やキスなどで感染することがあります。特に、小さな子どもは感染しやすいとされています。
➁口腔内環境の乱れ
歯磨き不足や不十分なケアで歯垢が蓄積すると、歯周病菌が繁殖しやすくなります。酸素が少ない環境を好むため、歯周ポケットが深くなると菌はさらに活動的になることがあります。
➂免疫力の低下
体調不良やストレス、加齢などで免疫力が下がると、歯周病菌に対する抵抗力が弱まり、感染が進みやすくなります。
④生活習慣の影響
喫煙は歯ぐきの血流を悪くし、菌に対する体の防御力を下げることがあります。また、糖分の多い食べ物や飲み物は菌の栄養になりやすく、増殖につながる場合もあります。
⑤全身疾患との関連
糖尿病などの持病があると、炎症が起こりやすくなり、歯周病のリスクが高まることがあります。逆に、歯周病が全身の健康に影響を与えることもあります。
このように、歯周病菌は口腔内だけでなく、生活全体の影響を受けて感染や増殖を繰り返すことがあります。感染を抑えるためには、毎日のケアと生活習慣の見直しが大切です。
3. 歯周病の原因菌の感染を防ぐには?今日からできる予防法
歯周病菌は誰の口腔内にも存在する可能性があるため、完全に取り除くことは難しいとされています。しかし、日々の工夫で菌の増殖や感染のリスクを抑えられる可能性があります。ここでは、歯周病菌の予防方法について解説します。
①毎日の歯磨きの徹底
基本となるのは毎日の正しい歯磨きです。歯と歯ぐきの境目を意識し、歯ブラシだけでなく歯間ブラシやデンタルフロス、舌ブラシを使うことで、歯垢の軽減が期待できます。
②生活習慣の見直し
禁煙やバランスの取れた食事は、口腔内環境を良好に保つために重要です。特に喫煙は歯周病リスクを高めやすいため、控えることが推奨されます。
③定期的な歯医者でのクリーニング
自宅でのケアだけでは歯垢や歯石を完全に取り除くことは困難とされています。歯医者での定期的な検診とクリーニングを受けることで、菌の数を減らすことが期待できます。
④全身の健康管理
歯周病は糖尿病や心疾患などと関わりがあるとされており、全身の健康状態を整えることも予防につながります。生活習慣病の管理や、規則正しい生活を意識することが大切です。
⑤家族間での感染予防
食器や箸の共有を避けることも、歯周病菌の感染を防ぐ助けになると考えられます。特に子どもへの口移しは控えるようにしましょう。
このように、歯周病菌の感染を防ぐには日常生活全体の工夫が必要です。口腔内の清潔を保つことに加え、生活習慣や全身の健康も意識することで、歯周病のリスクを減らすことが期待されます。
4. 仙台市青葉区上杉の歯医者 ルミエールデンタルクリニックの歯周病治療
仙台市青葉区上杉の歯医者 ルミエールデンタルクリニックには日本歯周病学会・歯周病専門医が在籍しており、軽度〜重度の歯周病治療を行っています。
日本歯周病学会・歯周病専門医の資格は更新が必要であり、更新のためには学会での発表や研修会の参加など、新しい知識や技術の習得が必要です。そのため当院では歯科医療の進歩に合わせた歯周病治療をご提供しています。
また、院内で症例発表や研修会を毎月行っており、歯科医師、歯科衛生士、スタッフ一同がより良い治療を提供できるよう努めています。
歯周病治療は歯周病の進行度(重症度)によってすべき治療内容や治療期間が変わってきます。また、歯周病は一度罹患すると「完治」はしない病気です。そのため快適な生活が送れるレベルに症状を抑えるためには歯科医院で行う治療(CURE)とメンテナンス(CARE)、患者さんご自身がご自宅で行うメインテナンス(CARE)の両軸が大切です。
患者さんとのコミュニケーションを大切にし、患者さんのライフスタイルやライフステージに応じた治療やメンテナンスをご提案いたします。
歯周病治療は長距離走です。仙台青葉区上杉の歯医者 ルミエールデンタルクリニックは患者さんが健康的なお口を取り戻すまで伴走し続ける歯科医院を目指しています。
▼医院ホームページ 歯周病治療紹介ページ
まとめ
歯周病は、歯を失う大きな原因の一つで、その背景には歯周病菌の存在があります。菌は歯垢や歯周ポケット、舌苔などに潜み、家族間で感染することもあります。また、口腔内の清掃不足や生活習慣の乱れ、免疫力の低下が菌の増殖につながることもあります。
予防には、毎日の丁寧な歯磨きや歯間ケア、舌の清掃、生活習慣の改善、そして定期的な歯医者でのクリーニングが大切です。
歯周病についてお悩みの方は仙台市青葉区上杉の歯医者 ルミエールデンタルクリニックまでお問い合わせください。
監修
甲田 恭子
院長/歯科医師・歯学博士
日本歯周病学会専門医・指導医
日本臨床歯周病学会認定医
日本歯科保存学会専門医・指導医
臨床歯科麻酔管理指導医
日本口腔衛生学会専門医
日本歯科医師会生涯研修認定医
日本歯科医師会認定産業歯科医
第一種歯科感染管理者
キャリアコンサルタント
福岡県立九州歯科大学 卒業
東北大学大学院歯学研究科 博士(歯学)
安久 修平
副院長/歯科医師・歯学博士
日本歯周病学会認定医
臨床歯科麻酔管理指導医
東北大学歯学部 卒業
東北大学大学院歯学研究科 博士(歯学)
