歯ぐきからの出血や口臭が気になり、「もしかして歯周病かも?」と不安になったことはありませんか?歯周病の進行を知るうえで大切な指標となるのが「歯周ポケットの深さ」です。しかし、何ミリから歯周病と判断されるのか、その基準を正確に理解している方は少ないかもしれません。今回は、歯周ポケットとはどのようなものか、どのように測定されるのか、また正常な数値と歯周病の判断基準について解説していきます。
1. 歯周病検査で歯周ポケットはどうやって測る?
歯周ポケットとは、歯と歯ぐきのあいだにできるすき間のことを指します。このすき間が深くなるほど、歯周病の進行度が高いと判断されます。健康な歯ぐきではこのすき間は浅く、歯みがきの際に歯ブラシの毛先が届く範囲で清掃可能ですが、歯周病になると歯ぐきが炎症を起こし、ポケットが深くなり汚れがたまりやすくなります。
この歯周ポケットの深さは、歯科医院で「プロービング検査(プロービングデプス測定)」によって確認されます。
<歯周ポケットの深さの測定方法>
①プローブという専用の器具を使用する
細長い金属製の器具で、先端に1ミリ単位の目盛りが刻まれています。この器具を歯と歯ぐきの境目にそっと挿入して、歯周ポケットの深さを測定します。
②数歯だけでなく、全ての歯を6点測定する
1本の歯に対して6か所(前・中央・後ろ、それぞれの内側と外側)を測るのが基本です。これにより、部分的な歯周病の進行も見逃さないようにします。
<測定の注意点>
①測定は力加減も重要
強く押し込むと深く測れてしまうため、歯科医師や歯科衛生士は適切な圧力(20g程度)で測定を行います。痛みを感じにくくするための配慮もされています。
②炎症がある部位では出血が見られることも
測定中に出血が確認される場合は、歯周組織に炎症があるサインです。これも歯周病診断のひとつの重要な情報となります。
測定値は診療記録として保存され、過去のデータと比較することで歯周病の進行状況や改善の度合いを確認します。
歯周ポケットの測定は、歯周病の早期発見・治療に欠かせない検査であり、定期的な歯科検診でのチェックが大切です。
2. 正常な歯周ポケットは何ミリ?歯周病の目安
歯周ポケットの深さによって、歯周病の進行度が大まかに分類されます。以下のような基準が目安とされています。
①正常な歯周ポケットの深さは1〜2ミリ
この範囲であれば、歯ぐきの状態は健康であるといえます。ブラッシングによって汚れが取り除けるため、むし歯や歯周病のリスクも低い状態です。
②3ミリは注意が必要な初期状態
3ミリ程度の歯周ポケットがある場合、歯ぐきがやや炎症を起こしている可能性があります。初期の歯肉炎や軽度の歯周病のサインと考えられます。
③4〜5ミリは中等度の歯周病の可能性
この深さになると、歯ぐきの奥までプラークや歯石がたまりやすく、通常の歯みがきでは取り除けなくなります。専門的なクリーニングや治療が必要です。
④6ミリ以上は重度の歯周病の可能性が高い
歯槽骨という歯を支える骨が吸収されてしまうケースもあり、歯がグラつく原因となることがあります。進行を止めるための治療が急がれます。
⑤左右や上下、前歯と奥歯で差が出ることもある
歯周病は部分的に進行する場合もあるため、全ての歯の状態を総合的に診断することが大切です。
⑥数値だけでなく症状との組み合わせで判断する
出血、腫れ、歯のぐらつき、口臭などの症状も合わせて診断材料とされます。
歯周ポケットが深くなっても自覚症状が少ないのが歯周病の特徴です。だからこそ、数値として確認できる歯周ポケットの測定が重要な役割を果たすのです。
3. 歯周病を防ぐには?日常でできる予防と検診の活用
歯周病は「沈黙の病気」とも言われるほど、初期段階では自覚症状が少ないまま進行します。そのため、日頃の予防と定期的な検診が非常に重要です。ここでは、歯周病を防ぐために自宅でできる対策と、歯科医院での検診の活用方法について整理します。
①毎日の丁寧な歯みがき
歯周病の最大の原因は、歯の表面や歯ぐきの境目にたまる歯垢(プラーク)です。これを取り除くことが歯周病予防の基本となります。特に「歯と歯ぐきの間」を意識してみがくことが大切で、歯ブラシの毛先を斜め45度に当て、小刻みに動かすようにして磨きましょう。
➁デンタルフロスや歯間ブラシの使用
歯ブラシだけでは落としきれない、歯と歯のあいだの汚れを取り除くためには、デンタルフロスや歯間ブラシの活用が効果的です。特に奥歯の間は汚れが残りやすいため、意識して清掃を行いましょう。
➂生活習慣の見直し
食生活や喫煙習慣、ストレスなども歯周病の発症や悪化に関係しています。栄養バランスの取れた食事、十分な睡眠、ストレスコントロールが全身の健康とともに、歯ぐきの健康にも良い影響を与えます。喫煙は血行を悪くし、歯ぐきの回復力を低下させるため、できる限り控えることが望ましいです。
④定期的な歯科検診の受診
自覚症状がない段階での歯周病を発見するためには、歯科医院での定期的な検診が欠かせません。歯周ポケットの測定や歯石の除去、ブラッシングの指導などが受けられるため、少なくとも年に1~2回の受診が推奨されます。
⑤歯石の除去(スケーリング)
一度歯石になってしまった汚れは、自宅でのケアでは取り除けません。歯科医院で専用の器具を使って歯石を除去することで、歯ぐきの炎症を防ぎ、歯周ポケットの悪化を食い止めることができます。
⑥継続的な予防意識の維持
歯周病は進行を防ぐためにも、日々の予防が大切です。毎日のケアを「なんとなく」から「意識的に」行うことで、歯ぐきの健康を維持しやすくなります。自分の歯ぐきの状態に関心を持ち、早期に異常を感じたときにはすぐに受診する習慣をつけましょう。
歯周病は放置すると歯を失う原因にもなりかねません。だからこそ、日々の予防とプロのサポートの両方が大切なのです。
4. 仙台市青葉区上杉の歯医者 ルミエールデンタルクリニックの歯周病治療
仙台市青葉区上杉の歯医者 ルミエールデンタルクリニックには日本歯周病学会・歯周病専門医が在籍しており、軽度〜重度の歯周病治療を行っています。
日本歯周病学会・歯周病専門医の資格は更新が必要であり、更新のためには学会での発表や研修会の参加など、新しい知識や技術の習得が必要です。そのため当院では歯科医療の進歩に合わせた歯周病治療をご提供しています。
また、院内で症例発表や研修会を毎月行っており、歯科医師、歯科衛生士、スタッフ一同がより良い治療を提供できるよう努めています。
歯周病治療は歯周病の進行度(重症度)によってすべき治療内容や治療期間が変わってきます。また、歯周病は一度罹患すると「完治」はしない病気です。そのため快適な生活が送れるレベルに症状を抑えるためには歯科医院で行う治療(CURE)とメンテナンス(CARE)、患者さんご自身がご自宅で行うメインテナンス(CARE)の両軸が大切です。
患者さんとのコミュニケーションを大切にし、患者さんのライフスタイルやライフステージに応じた治療やメンテナンスをご提案いたします。
歯周病治療は長距離走です。仙台青葉区上杉の歯医者 ルミエールデンタルクリニックは患者さんが健康的なお口を取り戻すまで伴走し続ける歯科医院を目指しています。
▼医院ホームページ 歯周病治療紹介ページ
まとめ
歯周ポケットの深さは、歯周病の進行度を知るための大切な指標です。1〜2ミリなら正常ですが、3ミリ以上になると注意が必要で、特に4ミリを超えると専門的な治療が求められます。自覚症状が少ないため、知らないうちに進行してしまうことも多く、定期的な歯科検診と毎日の丁寧なセルフケアが歯ぐきの健康を保つ鍵となります。
仙台市で歯周病や歯周ポケットの検査・予防についてお悩みの方は、ルミエールデンタルクリニックまでお問い合わせください。
お一人おひとりのお口の状態に合わせた検査やケアをご案内しています。
監修:甲田 恭子